2007.10.21.

夜に個展のためのポストカードを家で印刷していたら、三十枚ぐらい刷るごとにプリンターがため息みたいな音をたてている。「まあ、たくさん刷ってるからため息ぐらいはしょうがない」と思っていたら、プリンターが「こうため息ばかり出ちゃしょうがねえや」と言った。

ハイテクの機械にしては古いしゃべり方だな、と思ったのだけど、面倒くさいので放っておいたら「いや、実はね、紙を吸い込むのが私の仕事だってことはわかってます。わかってるんだけど、たまにはおいしいものもいただきたいもんだ、と思っちまいましてね」と言って止まった。

思っちまったまま動き出す気配がないので、かじっていたパンをプリンターに放り込もうとしたのだけど、せっかくだからインクのかわりにジャムをセットしておいた。そうしたら、案の定、おいしそうにジャムがのったパンがプリンターから出てくる。プリンターも「おいしいものってのは本当に世の中にあるんですねえ」といたく感激しているようなのでまさに一石二鳥。その後刷ったポストカードが少しべとべとしているような感じだけど、気のせいだと思う。


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